1.85歳の叔父が困っていること
叔父さんは85歳。現在、介護施設で暮らしています。
足が悪く、車いすでの生活です。
以前は自宅で暮らしていましたが、叔母さんのケガや入院などが重なり、食事を作る人がいなくなったことから、施設に入居することになりました。
施設では、食事や身の回りの支援を受けられます。
しかし、入居してから、以前とは違う生活に戸惑うこともあるようです。
その一つが、お金の使い方です。
叔父さんが入居している施設では、現金を手元に持つことが認められておらず、お金は施設側で管理されています。
そのため、欲しいものがあっても、自分でお店に行って買うことができません。
2.大好きなビールも、自分では買えない
叔父さんが特にもどかしく感じているのは、大好きなビールを自分で買えないことです。
飲みたいと思ったときに、自分で買いに行く。
そんなことは、以前なら特別なことではなかったでしょう。
ところが、施設で暮らすようになると、欲しいものを自分で買うことが難しくなりました。
何か必要なものがあれば、職員さんにお願いすることになります。
もちろん、施設には施設のルールがあります。現金の紛失や盗難などを防ぎ、入居者の安全を守るために、金銭管理の仕組みが設けられている場合もあります。
ただ、本人の立場から考えると、欲しいものがあっても、自分の判断だけでは買えないという不自由さがあります。
自分のお金があっても、好きなときに使えない。
叔父さんのもどかしさは、こうした生活の変化から生まれているのだと思います。
※飲酒については、服薬や健康状態によって注意が必要な場合があります。実際にビールを購入できるかどうかは、施設の規則や医師の指示などを確認する必要があります。
3.お金を持てないと、不安になることもある
以前、叔父さんは自宅に置いてきたへそくりのことも心配していました。
「少ない聖徳太子がある」と話していたのです。
それが昔のことなのか、今も自宅にお金が残っているという意味なのか、はっきりとは分かりません。
ただ、施設に入居してから、自分のお金を手元に置けないことが気になっているようでした。
私たちも、自分の財布にお金が入っていれば、必要なときに使えるという安心感があります。
反対に、自分のお金がどこで管理されているのか、どうすれば使えるのか分からなければ、不安になることもあるでしょう。
年齢を重ねても、お金への心配がなくなるわけではありません。
むしろ、自分でできることが少なくなるほど、お金を自由に使えるかどうかが、暮らしの安心に関わってくるのかもしれません。
4.介護を受けても、自分で選びたい
介護施設では、食事や入浴など、さまざまな支援を受けられます。
それは、本人や家族にとって大きな安心です。
しかし、支援を受けることと、自分の希望をすべて誰かに任せることは違います。
何を食べたいのか。何が欲しいのか。どんな時間を過ごしたいのか。
こうした希望は、介護が必要になっても変わらないのではないでしょうか。
自分で選ぶことは、日々の暮らしの中で、自分らしさを保つことにもつながります。
施設の決まりがあるからといって、本人の希望を聞かなくてよいわけではありません。
本人が何に困っているのかを聞き、施設のルールの範囲内で、どのような方法があるのかを一緒に考えることが大切です。
5.本人が安心してお金を使える方法はないか
施設で現金を持つことができなくても、本人が必要なものを購入する方法がまったくないとは限りません。
施設によっては、預かり金の仕組みや、職員による買い物の支援などが用意されている場合があります。
まずは、施設の職員さんや相談員に、次のようなことを確認するとよいでしょう。
- 預けているお金は、どのように管理されているのか
- 欲しいものがあるときは、どのように購入をお願いするのか
- 本人が買い物を選ぶ機会を作れるのか
- 家族が買い物を手伝うことはできるのか
こうした方法は施設ごとに異なります。
本人の安全を守りながら、できるだけ希望に沿った買い物ができるよう、相談してみることが大切です。
6.安全だけでなく、自分らしい暮らしも大切に
叔父さんの話を聞いて、私は改めて考えました。
介護施設で安全に暮らせることは大切です。
でも、それだけで本人が満足できるとは限りません。
好きなものを買いたい。自分のお金を管理したい。できることなら、自分で決めて生活したい。
そんな気持ちも、いつまでも大切にしたいものです。
私たちも、いつか介護を受ける立場になるかもしれません。
そのとき、自分のお金はどう管理されるのか。欲しいものはどのように買うのか。元気なうちから家族と話し合っておくことも、安心につながると思います。
介護が必要になっても、自分らしく暮らしたい。そのためには、安全と自由の両方を考えることが大切なのではないでしょうか。

