近年、農村では新築住宅や外車を所有する金持ち農家が増える一方、古い住宅を補修しながら暮らす貧乏農家も存在します。さらに、ビジネスマンと農業を両立する二刀流農家や、古民家レストランのような新しい稼ぎ方も広がっています。これらの変化は地方格差にも影響を与え、農業の未来はまさに分かれ道に立っています。
金持ち農家と貧乏農家の違い
金持ち農家が目立つ背景には、作物のブランド化、直売所やECを活用した直販、補助金・設備投資の活用があります。仕事は軽トラで機動力を保ちつつ、生活では外車を所有するケースも珍しくありません。一方、昔ながらのやり方で販路が限られ、価格変動の影響を強く受ける農家は、古い住宅を補修しながらやり繰りする状況に置かれがちです。
差を分ける要因は「販売戦略」と「経営視点」です。高付加価値の品種集中、生育・収穫のデータ化、需要期に合わせた出荷計画、固定取引先(契約栽培)確保などを実行できるかで、収益の安定度が大きく変わります。
稼ぐ農家の新しい流れ(二刀流・直販)
二刀流農家:ビジネスマン×農業
平日は会社員として安定収入を得つつ、早朝・夜間・週末に農作業を行う二刀流農家が増えています。職場で培ったマーケティングやITの知見を、EC運営・SNS発信・予約販売に応用しやすいのが強み。初期は小規模から始め、需要のある作物に集中投資する「スモールスタート+検証」型が成功しやすい流れです。
直販・サブスク・体験の掛け算
直販EC・定期便(サブスク)・収穫体験や農業体験の観光農園化を組み合わせ、リピート率と粗利率を高めるモデルが浸透しています。仲介を減らし顧客データを自ら蓄積することで、品切れ・余剰のリスク管理も改善。これにより、平均的な会社員年収を上回るケースも見られます。
古民家レストランと地産地消
「育てて、つくって、提供する」で付加価値最大化
自分の畑の新鮮野菜や、地元の鮮魚を仕入れて古民家レストランで提供する「農×飲食」モデルが各地で増加。地産地消と観光を結び、土日祝のみの営業でも高単価・高満足を実現しやすいのが魅力です。原価コントロールがしやすく、ストーリー性(生産者の顔が見える)が集客にも直結します。
週末営業+予約制で無理なく継続
収穫→仕込み→提供の流れをカレンダーに落とし込み、予約制で廃棄ロスを抑えるのがポイント。人気メニューは、季節のプレート、野菜コース、ファーマーズブランチなど。店内には生鮮と加工品(ピクルス・ジャム)を置くと客単価と再訪率が伸びます。
地方格差の広がりと今後の選択
立地・販路・人材で差が出る
都市近郊は直売・観光需要を取り込みやすく、物流・人材確保でも有利。一方、過疎地域は販路形成と人手不足が重なり、収益化の難易度が上がります。ただし、希少作物や加工食品、ストーリー性のある体験メニューを磨けば、立地ハンデを超える余地は十分あります。
分かれ道は「挑戦×設計」
あなたの農業を「事業」として設計できるかが鍵です。
①誰に(ペルソナ)②何を(価値)③どう売る(販路)④どう作る(生産計画)⑤どう続ける(キャッシュフロー)。
この5点を明文化し、小さく検証→改善を回す農家が「稼ぐ農家」へ踏み出しています。
まとめ
金持ち農家と貧乏農家の差は、販路・ブランド・経営設計の差に由来します。二刀流農家や古民家レストランなどの新潮流は、収益と地域貢献を両立させる具体的解です。小さく始めて検証を重ね、直販・体験・加工を掛け算することで、地方格差を越える道は開けます。いまが、分かれ道です。
参考・引用
「食料・農業・農村を巡る情勢は大きく変化している。」
農林水産省『食料・農業・農村白書』(最新版)